桜前線 奥河内まで北上す !!

桜前線「桜前線」が、日本列島を北上している。そして奥河内まで北上してきた。
桜前線(さくらぜんせん)は、日本各地の桜、主として染井吉野(ソメイヨシノ)の開花予想日を結んだ線を言い、それが天気図の前線を描いたようになることからこのように名付けられている。
1月中旬に沖縄・奄美地方でヒカンザクラが咲き、3月下旬、九州南部から順次、列島を北上、4月末頃には東北地方の北部でも開花、さらに5月上旬には津軽海峡を渡って北海道に至り、5月20日頃、北海道東部の根室市に到着、ここで桜前線は消えていく。
桜前線の標準木は、ソメイヨシノだけでなく、例えば根室市ではエゾヤマザクラやチシマザクラが、そして沖縄や奄美地区ではヒカンザクラとなっている。

桜前線この桜前線と言う言葉は、マスコミが造り出した言葉で、1970年代から80年代初めにかけて使われ出したようであるが、現在ではすっかり定着している。
そのため桜前線や花だより(桜だより)が発表されないと、なぜか春が来た感じがしない。
なお気象庁では「さくらの開花予想日の等期日線図(とうきじつせんず)」と言い、「桜前線」と言う言葉は、気象庁の公式な用語ではない。

気象庁では、桜の標準木に数輪咲いたら「開花間近」、そして5~6輪咲くと「開花」したと見なし「開花宣言」が行なわれ、またその日を「開花日」としている。
さらに「満開日」とは、標準木に8割以上の花が咲いた日を言うようであるが、満開であっても2割程度はまだ蕾が残っていることもあるし、逆に開花と言っても実際はほとんど蕾であることもある。
ちなみに気象庁は、平成22年(2010)より開花予想はしていない。

興味深いことは、開花から満開までの期間は、地方によって異なり、沖縄・奄美地方では約16日、九州から関東地方までは約7日、そして北陸から東北地方では沖縄・奄美地方の約1/3の5日、さらに北海道ではもっと短く約4日と前線が北上するほど、その日数は短くなっていく。
また開花時期は、過去の開花日と比べ、2日以内であれば「平年並み」、3日以上離れていれば「早い・遅い」と、さらに7日以上の開きがあれば「かなり早い・遅い」と発表されるようである。

桜前線昔、桜の花は入学式の当日まで咲いており、我々を祝福してくれているように感じたが、近年は「かなり早い」が多くなったような気がして少し寂しいものがある。

桜前線は、九州から関東の南部まで一日約100Kmの速さで、そこから北へは、かなり速度を落とし一日20Kmの速度で北上していくが、前線の後ろには、約300Kmの花の帯が広がり、前線と同じように北上して行くようである。

開花時期を知らせる桜前線が日本列島を駆け上がっていくと、今度は、それぞれの地方で桜の開花状況が「花便り」や「桜たより」として伝えられる。
桜は「つぼみ、咲き始め、5分咲き、7分咲き、満開」と咲き、その後「散り始め、落下多し」と続くが、それを我々は「花吹雪」と称し楽しんでいる。
桜の花は散り際の美しさを見せてくれるが、同時にまた、我々は花の命の儚さも知ることになる。そして散った花は「花筏」となって川を下ることもある。
毎年、それらを知らせる「桜だより(花便り)」が、我々に届けられる。そして今年もまた花便り(桜たより)が毎日届けられ、嬉しい便りで心がいっぱいになる。
このように桜の咲き始める時期を予想、さらにその開花状況が新聞やテレビ、あるいは駅などで掲示され、「花便り」として我々に届けられる。
桜前線このような雅やかな春の風物詩は、世界でも日本だけのものではないだろうか。大いに誇ってもよい伝統行事となっていきそうである。

それにしても春風は、花吹雪を誘い、花のはかなさを感じさせる。しかし春の雨は、桜に早く咲けと春の目覚めを誘っているようにも思えるし、また逆に花を散らす無情の雨である時もある。
河内長野市内では、3月下旬から4月上旬、長野公園を初め観心寺や金剛寺、あるいは寺池公園や花の文化園で咲きはじめ、4月の中旬には、天見の遊歩道(花と花樹の道)でも八重桜の開花を迎える。
花は、我々に春の訪れを知らせ、また我々の目を楽しませてくれる。そして桜に続けとばかり山も里も町じゅうで、美しい花が次々と咲いていく。桜は花神(かしん)なのであろうか。          

西風狂散人(かわちのふうきょうさんじん)